大量懲戒請求 賛同した女性「洗脳状態だった」 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20181023/k00/00e/040/296000c
女性がこのブログと出合ったのは15年、あるお笑い芸人のネタが「反日的だ」とするネット上の書き込みを見たのがきっかけだった。そこからネットサーフィンするうちにたどり着いた。過激な文言が並ぶ中でも、とりわけ「日本が韓国・中国と紛争状態になったら在日コリアンらと実質ゲリラ戦の状況となる」の記述に危機感をあおられたという。女性はブログからの「指示」を楽しみに待つようになり、「日本を守るために」と指示を実行していく。ブログ運営者の活動費にしてほしいと現金を寄付したこともあった。
ネトウヨにありがちな「ネットDE真実」を地で行ったような経緯だが、その中でも注目すべき一文が「お笑い芸人のネタ」がきっかけでネトウヨになったというものである。記事内では明言されていないが、これは明らかに2015年頃に流行した「落寸号令雷」コピペのことを指している。初出は不明だが、2015年3月頃にお笑い芸人「8.6秒バズーカー」の「8.6」が原爆投下日の「8月6日」と偶然一致したため、そこからこじつけでこのお笑い芸人が反日思想を持っているというネタが展開された。影響された「落寸号令雷」のコピペは以下のものである。
【話題】「ラッスンゴレライ」は原爆の「落寸号令雷」を意味。8.6秒バズーカーは偏った政治思想の持ち主か!? [転載禁止]©2ch.net
https://daily.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1427288562/
279 :名無しさん@1周年:2015/03/25(水) 22:38:57.91 ID:HmNTsQNJ0
落寸号令雷(ラッスンゴレライ)←米軍が原爆を落とす号令を暗喩
ちょっと待ってちょっと待ってお兄さん←エノラゲイ搭乗員に対する抑止文句を暗喩
落寸号令雷(ラッスンゴレライ)ってなんですの←原子爆弾に対する日本人の動揺を暗喩
説明しろと言われても意味わからんからできませ~ん←当時の日本政府が国民から説明責任を求められても返答できない様子を暗喩
ラッスンゴレライ!フー!×2←原子爆弾に対する賞賛を暗喩
楽しい南国、ラッスンゴレライ←当時の日本軍の南洋州における玉砕を暗喩
でも南国言うてもいろいろあるよ、バリ、グアム、ハワイどれですの?←当時の日本国政府の首脳部の攻撃対象地策定の過程を暗喩
そもそも「落寸号令雷」という号令は存在せず、新聞記事などのコラも作られたが全て釣りである。しかし、上記を本気にしたネトウヨが「8.6秒バズーカー」のTwitterログを漁ったところ、過去に「日本が嫌い」という発言をしていたのも事実であり、偶然が重なり信憑性があるようなデマが生まれたわけだ。初期のころは「8.6秒バズーカー」だけでなく「クマムシ」も同様に反日芸人というネタが扱われていたが、こちらは上記のような偶然の一致が無かったため、すぐに廃れている。
「落寸号令雷」を元にしたデマ拡散事件はそれなりの騒動となり、本人たちが否定する事態にまで発展しているが、何よりもこれをきっかけに実際にネトウヨ思想に染まった人物がいたというのは、今までに無かった衝撃的な情報である。ネット上には極端な右翼思想を「ネトウヨ」と馬鹿にする層がいる一方、逆に言えばそれほどまでに「反コリアン、反中華思想」は根強く支持されており、人種差別が当たり前に行われている。どういった層がネットDE真実に触れてネトウヨ化するかは明確になっていないが、この例では50代女性ということで、少なくとも高齢側に分類される人間がネット上の情報に触れたことでネトウヨ化したことは事実である。高齢者世代は情報化社会に対して疎い面が少なからずある。情報に触れた際のソース確認や、真実かどうかを疑う姿勢を持ち合わせていないことがほとんどである。「落寸号令雷」についても大して信憑性を調べもせず本人の中で真実として刻まれてしまったのだろう。一種の「洗脳」と言える。
人間はどうしても信じたいものを信じてしまう傾向があり、それは本能的に仕方ないと言える。しかし、現実と信じたいものが一致するとは限らず、何が信じるべき情報なのかを判断するために、情報のソースを確認することが大事なのだ。個人が簡単に情報発信できるようになった現在では、デマや洗脳も簡単に行うことができる。そういった悪質な行為に対する自衛のためにも、情報に対して、それは信頼たり得る情報なのかを意識することが必要なのである。
